雨の日は、森がいちばんきれいだった
山に行くなら晴れてほしい。
青空、展望、遠くまで続く稜線。もちろんそれは最高。
でも、雨の日の森には、晴れの日とはまったく違う美しさがあります。
むしろ場所によっては、晴れの日より魅力的に感じることさえあります。
雨の日の森が好き
雨の日の森は、色が濃い。
苔はしっとりして、葉っぱはつやつやして、木の幹も黒っぽく沈んで見える。
晴れている日はただの樹林帯に見える道も、ガスが入ると一気に幻想的になります。
以前は、樹林帯をそこまで好きだと思っていませんでした。
山頂や展望地に向かう途中の道、という感覚が強かった気がします。
でも、植物や苔、生きものに目が向くようになってから、樹林帯も楽しい場所になりました。
足元の花、濡れた葉っぱ、木の根元の苔、雨の日に出てくるカエル。見えるものが増えると、同じ道でも印象が変わります。
山頂の景色は見えなくても、森の中にいるだけで楽しい。
白駒池の苔の森は、雨の日こそ美しい
長野に住んでいた頃、雨が降ると白駒池に行っていました。
晴れた日の白駒池は観光地としての賑わいがありますが、雨に濡れた苔の森はまったく別の表情を見せます。
しっとりとした緑、静かな湖面、霧に包まれた原生林。
雨の日の白駒池は、私にとって“雨の森の魅力”を教えてくれた場所です。
雨だからこそよかった場所たち
愛媛・笹倉湿原
愛媛遠征へ行ったとき、雨に降られました。
でも、その雨のおかげで歩いた笹倉湿原がとてもよかった。
しっとりした森と湿原の静けさが印象的で、今のところ雨の日に歩いた場所の中で一番心に残っています。
踏み跡が明瞭とは言いにくく、1人で気軽に入るには少し抵抗がある場所。
距離的にも簡単に再訪できませんが、だからこそ特別な記憶になっています。
長野・八島湿原
八島湿原も、ガスっている日に歩いたのがとてもよかった場所です。
湿原の向こうが白く霞んで、遠くまで見えないぶん静けさが強くなる。
晴れた日の開放感もいいけれど、ガスに包まれた湿原にはまた別のよさがあります。
音が吸い込まれるような、しっとりとした時間が流れていました。
栃木・晃石山
晃石山も、雨の日の印象が強い山です。
ガスで一面白くなった樹林帯は幻想的で、雨に濡れた紫陽花がとてもきれいでした。
晴れていれば通り過ぎてしまいそうな道も、雨や霧があるだけで雰囲気が変わる。
低山の樹林帯は、雨の日にこそ本領を発揮する気がします。
山梨・日向山
日向山に行った日も雨でした。
本当は引き返そうと思っていたのですが、同行者が登ると言うので渋々登ることに。
日向山といえば白砂の山頂が有名で、晴れていればビーチのような景色が楽しめます。
当然、雨の日はその魅力は半減します。
それでも樹林帯はとても楽しかった。
雨の森はヒキガエル天国で、あちこちにヒキガエルがいて、景色とは別の楽しみがありました。
雨の日は展望が閉じるかわりに、生きものの気配が近くなる気がします。
カエル、カタツムリ、苔、きのこ、濡れた葉っぱ——晴れの日とは見るものが変わるだけで、雨の日にもちゃんと楽しみがあります。
雨の日に向いている山・向いていない山
雨の日の山を無条件におすすめしたいわけではありません。
雨の日に楽しいのは、たとえばこんな場所。
- 苔の森
- 湿原
- 池や水辺
- 紫陽花のある低山
- 樹林帯メインのハイキングコース
- 歩行時間が短めの場所
逆に、雨の日に無理したくない場所もあります。
- 岩場や鎖場
- 急な下り
- 木の根が多い道
- 泥で滑りやすい道
- 渡渉がある道
- 展望だけが目的の山
雨の森は好きだけれど、安全に歩けることが前提。
「雨でも楽しい場所」と「雨の日はやめたほうがいい場所」は、ちゃんと分けて考えたいです。
晴れなくても、山は楽しい
山に行くなら晴れてほしい。
それは今でも思います。
でも、晴れなかったからといって、全部が台無しになるわけではありません。
雨に濡れた苔。
ガスに包まれた樹林帯。
水滴のついた紫陽花。
湿原の静けさ。
雨の日にだけ出会う生きもの。
山頂からの展望がなくても、雨の日の森には雨の日の楽しさがあります。
これから梅雨に入り、毎週末晴れるとは限らない季節になります。
晴れたら山頂へ。
雨なら森へ。
そんなふうに、天気に合わせて山の楽しみ方を変えていけたら、もっと気楽に山を歩ける気がします。

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